想いと縁でつながった、救命救急医療への道
柴谷のファーストキャリアは大手旅行会社の法人営業。当時のクライアントだった、とあるヘルスケア企業の社風に感銘を受けたことを今でも覚えているといいます。
柴谷 「自社の社員だけでなく、取引先企業である我々に対しても、非常に心のこもった対応をしてもらいました。人を大切にする、その企業姿勢に興味を持ちました」
その後、転職を意識した時、偶然そのヘルスケア企業の医療機器部門の紹介を受けた柴谷。選考が進むなかで「一つとして同じ症例はない。毎日違う患者さんの、違う症例と向き合うなかで、少しでも良い治療を提供する」という姿勢に徐々に興味を惹かれ、入社を決意したといいます。
柴谷 「入社後に担当したのは外傷(トラウマ)分野の営業でした。外傷は救急外来と密接な関係にあり、仕事をするなかで救命救急の先生方と接する機会も多くありました。その過程で、絶望の淵にいる患者さんと真摯に向き合う救命医療に惹かれていったのです」
救命救急に感じた魅力。ただ、同時に柴谷は救急医療の課題にも着目していました。
柴谷 「救命救急も含めた病院のシステムには、アナログだと感じるものが多く、マンパワーで乗り切っている印象がありました。救急搬送の依頼がすべて電話確認だったり、膨大な患者さんの情報を紙のカルテでまとめていたりと、さらなる効率化が必要だと感じましたし、ここに自分の使命があるのではないかと強く思いました」
外傷分野で6年余りのキャリアを重ねたのち、直接的に救急医療に貢献したい、と転職を検討。畑違いのIT業界に転じて救急医療を支えるシステム構築に携わることも考えたといいます。そのような中で出会ったのが日本ストライカーでした。
柴谷 「前職と同じ医療機器を取り扱う競合メーカーとして、日本ストライカーの強みや魅力は知っていましたし、本音としては競合他社に転職するのはあまり気が進まなかったんです。しかし“日本ストライカーのメディカル事業部はテクノロジーの力で救急医療の現場を本気で変えようとしている”という話を聞いて、これは絶対にやりがいがある、と確信しました。
また、営業現場で出会う日本ストライカーの社員は総じて人柄が良く好感を持っていましたし、一人ひとりが想いを持って仕事をする様子を見ていたことも、入社の決め手になりました」
救命に携わる人々の想いに寄り添いたい
こうして2021年1月に日本ストライカーへ入社した柴谷。配属が決まったメディカル事業部は、2018年にフィジオコントロールジャパンという会社を統合して生まれたという経緯があります。柴谷が入社した当時のメディカル事業部は、日本ストライカーの中にありながら、フィジオコントロールの社風が色濃く残っていました。
柴谷 「フィジオコントロールから転籍した社員の多くはベテラン社員で、一人ひとりのスキルが際立つエキスパート集団のような印象でした。日本の救急医療の“当たり前”を変えていこうという情熱にあふれる方々が多く、久々の新人だった私を、チーム一丸となって育ててくれたことに、本当に感謝しています」
メディカル事業部は官公庁と関わる案件が多く、年度末の1月~3月が最繁忙期です。柴谷は、入社直後の右も左もわからないなか、先輩社員への営業同行を繰り返し、現場で仕事を覚えていきました。柴谷は当時を振り返り「集中的に経験を積むことができた時期だった」と語ります。また消防組織の方々との交流は刺激的なものでもありました。
柴谷 「救急医療で使われる製品を納品する際、消防や救急隊員の方々に使用方法について説明会を実施するのですが、たとえ説明途中でも出動要請があれば一目散に準備をして出動されます。まずその緊迫感に圧倒されました」
加えて、消防・救急隊員の真摯な姿勢に対しても感銘を受けたともいいます。
柴谷 「皆さんとても礼儀正しく、志を高くお持ちです。地域のために、人命のために、精一杯貢献したい、という想いが人一倍強い方々を目の前にして、自分も彼らの想いに応えたいと強く感じました」
テクノロジーの力で、日本の救命救急の現場はもっと良くなる
自身の仕事のスタイルを尋ねると、「感覚派」と答える柴谷。その意図をこう話します。
柴谷 「マニュアルや文献を読んで学ぶよりも、実地で経験して覚えていく方が得意ですし、自分に合っているんです。そうして実地で得た経験を自分のものにして、別の機会に応用できるのが私の強みだと思っています」
その言葉どおり、入社直後に同席した現場での経験を応用し、それまで消防組織に対し集中的に営業をしていた電動ストレッチャーを大学病院に納品したという実績からも、彼の仕事のスタイルをうかがい知ることができます。
そんな柴谷に仕事のモチベーションを尋ねると、「自社製品への誇り」という答えが返ってきました。
柴谷 「ストライカーの製品は、製品ごとのコンセプトがきちんと確立されています。これらの製品を広めることで、日本の救命救急の現場はもっと良くなる、と自信を持って営業活動に取り組めるんです」
柴谷がそう語る理由の一つに、電動ストレッチャーの存在があります。患者さんの搬送に用いるストレッチャーを電動化し、昇降時や救急車への搬入時に機械操作で救急隊員の身体的負担を軽減します。少子高齢化による救急医療の担い手不足、ひいては救急医療体制の持続可能性の観点からも注目されている製品です。
柴谷 「日本は欧米諸国に比べて電動ストレッチャーの導入が大幅に遅れています。数年前にはなかなかお客様に興味を持ってもらえなかったようですが、最近は商品の魅力が伝わるとともに需要の高まりもあって、お客様も熱心にお話を聞いてくださるようになってきた感覚があります」
自信を持って営業した製品が普及することで、救急医療の仕組みを変えることにつながる。これは柴谷が転職時に志した「救命救急の現場を変えたい」というモチベーションと合致するものです。
仲間がいるから、大丈夫だと思える
柴谷の入社以降、事業拡大とともにメディカル事業部には社内外から新しいメンバーが続々と加わりました。さらに2022年5月には組織も大きく変わり、柴谷は中日本営業部のマネジャーに着任。今後は営業活動のみならず、マネジメント面でも活躍が期待される立場となりました。
中日本営業部はベテラン社員に加えて中途採用者や他部署から異動してきた若手など、さまざまな背景を持つメンバーで構成されています。柴谷なりのコミュニケーション方法を確立し、メンバーそれぞれの個性を生かしたマネジメントを目指したいと意気込みます。
柴谷 「マネジャーに着任後、できるだけメンバーに近い距離感でコミュニケーションをとることを意識してきました。結果、メンバーからも自発的なアイデアが出るようになってきた実感があります。メンバー一人ひとりの自発性を重んじるコミュニケーション、とでもいうべきでしょうか」
柴谷が発した“自発性”という言葉は、日本ストライカーの社風にも共通するキーワードです。
柴谷 「私がこの会社に入って思ったのは、事業部の垣根を越えた横連携の意識がとても強いということ。同じエリアを担当する社員が集まる会議では、ことあるごとに“うちの事業部で何かできることはないですか?”と声が上がるんです。
横連携の意識を私たちは“One Stryker”と呼んでいますが、One Strykerこそ日本ストライカーとしての真の魅力だと感じましたし、この意識をメンバーにも浸透させていかなければならないと思っています」
マネジャーとしての意気込みを語る柴谷。その先に描く展望は、やはり自身が志す「救命救急の現場を変えたい」というモチベーションにつながるものでした。
柴谷 「救命救急の現場を変えることはもちろん簡単なことではありません。ただ、変えるための道筋は確実に見え始めています。同じ目標を共有する仲間たちと、共に考え、走り続けることができれば、きっと大丈夫だと思えるんですよね」
柴谷が見据える救命救急の未来。メンバーと共にその未来へと突き進む覚悟。彼の変革への挑戦はまだ始まったばかりです。